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グロースライトのご紹介

近年、異常気象と言われている現代において、日照不足問題が植物、または農業分野でも大きな問題となっています。
そこで株式会社ハナオカのグロースライトがどういうお役立ちをするのか、下記にてご紹介していきます。

グロースライトのご紹介

異常気象がもたらす農業においての危機とは…

太陽光は私達人間を含め、動植物にとっては奇跡の恵みです。
その太陽の恩恵を受けてきた私達ですが、近年、天候不良が続き作物の収穫不安定のニュースを多数見るようになりました。

異常気象のもたらす問題のひとつに太陽光の日照不足があります。
これは通常秋~春にかけては一般的に目立ちますが、実は日照時間が長い7~9月などの時期にも最近では台風の影響やゲリラ豪雨などによって発生する雨雲によっての日照不足問題が如実に起きています。
つまり、梅雨時期も入れると年中日照不足がどこかしらで起きているということになります。
特に2014年から2017年にかけてますます日照不足が顕著に現れ、私達が把握している具体的数値として2014年以降、過去25年間の平均日照時間と比べ約半分前後という信じられない数値が出ています。

作物ひとつとっても現状(2018年8月記述時点)では満足する日照量を与えられず育ったものが、昔に比べ最近は質や量、数のどれをとっても低下していると言っても過言ではないでしょう。

異常気象がもたらす農業においての危機とは…

また、昔と違う点に関して言えば、異常気象だけの問題だけでは無く、元々何も無かった所に建物ができ、それまで十分に朝夕光が入ってきた所が影になり光が入ってこなくなり、畑として十分に機能しなくなるなど、実質近年ではこういった原因も含め、農業に順じている人口の圧倒的な減少も現代農業の危機的な状況となっているのは言うまでもありません。

日照不足がもたらす問題のひとつに、光合成、つまりは植物の発芽や開花に関する成長が促進しにくくなる状況にあります。
人間社会で言えば薄暗い窓のない密閉された部屋で常に生活している環境だと思えば、植物にとっては辛い条件だと言うのは安易に想像できるでしょう。
また、光合成だけが影響あるわけではなく、果菜類における質や収穫量、個数の低下なども生産者様に大きな影響となっております。

下記ではそうした問題を抱えたすべての生産者様に共通することのひとつとして、この日照不足をどう対応していくかというのを考えます。

光の仕組みについて

光の定義には人間が見れる波長380nm~780nmの範囲にある「可視光線」のことを指します。
紫や藍、青、緑、黄、橙、赤の各色の波長があります。(図1参照)

図1 波長の区分図
図1 波長の区分図

植物は私達人間には見えない波長域にある紫外線や赤外線も情報として利用しています。

この「可視光線」つまり一般的に言われる太陽光が雨天曇天の際に雲に遮られ続けると、植物にとっては十分な波長を感じられずにいます。
特に発芽や形態形成に物凄く影響を与える波長が抑えられるので深刻な問題となります。

私達農業分野の中で過ごす者としては、この太陽光と同じ波長を植物に当てるシステムを作ればと考えますが、現実はそう簡単ではありません。
現在の技術の中でLEDを用いて再現できることが理想ですが、現段階では技術が追いついていません。

すべての波長の発光ダイオードを揃えて電照するとなると、莫大なコストになりますので実質現場では使用不可と言っていいでしょう。

光合成について

図2 植物工場研究所 引用
図2 植物工場研究所 引用

光合成に使われる光は、赤と青紫の光を吸収するクロロフィルや青緑の光を吸収するカロテノイド色素などの光合成色素によって吸収されます。

従って、葉緑素が主として吸収する波長は赤色・青紫光と青緑光であり、緑色光は吸収されずに反射されるので葉は緑色に見えるといった仕組みになります。

光合成色素が吸収できる光は光合成促進に役立ち、主に青色光の領域(波長430-500nm)と赤色光の領域(波長610-700nm)の光を吸収します。(図2参照)

上図でもわかるように、青色440nm、赤色660nm付近の波長がピークになって光形態形成をしています。
一方、光形態形成に関わるフィトクロム(色素タンパク質)は、弱光反応(図2の③・④)では③の660nmの赤色光によって活性化されます。それとは逆に④730nm近辺の遠赤色は不活性化されるという性質を持っています。

強光反応(図2の④)では440nm付近の青色が有効であり、徒長防止や頑丈に育てるなどの効果があります。

別の役割があると言われている緑の光の領域(波長500-570nm)や遠赤色(波長700-780nm)も植物の用途により使用します。

これが光合成の基本となります。

光合成促進を基盤にした「グロースライトBタイプ」

つまり上記や上図でもわかるように、青色440nmと赤色660nmを基盤とするLEDダイオード光を照射することによって、しっかりと植物は光合成を行えるのではないかと考えました。

上記で述べたように光合成に関する赤青波長を基盤としたLEDを作成しました。
それが当社製品「グロースライトBタイプ」です。

これは先に述べた光形態形成の特徴に沿って作成したものです。
必要な青色440nm、赤色660nmの波長をピーク時にしました。(図3参照)

図3 グロースライトBタイプ波長
図3 グロースライトBタイプ波長

遠赤色を用いた「グロースライトCタイプ」

次に上記のBタイプを基盤にし、そこから遠赤色という波長のLEDを加えた「グロースライトCタイプ」を作成しました。(図4参照)

赤外線の光のうち、遠赤色という波長(730nmを中心とする690-770nm)は、植物の成長に深く関わっています。
何故なら、遠赤色を吸収する光受容体が存在するからです。
常に遠赤色がカットされた環境(白色蛍光灯などで照らしている環境)では、発芽したての植物は正常には育ちにくく、多くの植物は徒長しやすい傾向にあります。
そういった環境に対する効果として、遠赤色の照射が植物に影響を与えます。

遠赤色は日中の光よりも朝夕で強調されるという特性があります。
朝夕では、太陽光が大気中を通過する距離が長いために大気中で散乱されにくく、地上に届きます。
しかし、それを遠赤色の効果を打ち消す赤色波長は大気中で散乱されて地上に届きにくいです。

従って、日照量というよりも日照時間や植物に与える波長との関係に注意を払う必要があります。
例えば、西日がたくさん差し込む箇所は、夜になる前に遠赤色がたっぷり植物に照射されることになり、夜間の植物の徒長が促進されてしまう場合があります。

よって、使用には気をつけなければいけません。
それと植物によってはこの遠赤色が影響を与えるものもあれば、影響が無いものありますので、使用用途がハッキリと植物をどうしたいか明確にされてからご使用ください。

図4 グロースライトCタイプ波長
図4 グロースライトCタイプ波長

菊用LEDの開発「グロースライトAタイプ」

上記では光合成について記述しましたが、菊の生産は以前から蛍光灯を使い、電照菊として栽培されてきました。
本来菊とは日照時間が短くなると花芽を形成し、その後蕾となり開花をするという特徴がある花です。

その特徴を活かして、花芽が形成される前に菊に光を当て、花芽の形成と開花時期を遅らせる方法によって栽培される菊を電照菊と言います。そして、その方法を花芽分化抑制と言います。

全国の電照菊生産の中でも愛知県の電照菊が有名です。
数年前に愛知県の農業総合試験場で行われた、菊に対しての電照試験が行われました。
橙色、赤色波長(590-660nm)の電照の中で、どの波長が一番花芽分化抑制に向いているか。

結果は630nm付近の赤色波長の電照が一番効果が出ました。
そこで光合成による形態形成や殺菌作用の効果がある440nmの青色波長と630nmの赤色波長を組み合わせた電球を開発しました。
それが「グロースライトAタイプ」です。

図5 グロースライトAタイプ波長
図5 グロースライトAタイプ波長

補光用LED「グロースライトDタイプ」の開発

上記に述べた電球は光合成促進用の電球です。
しかし、実際の現場では光合成促進以外にもLED電球を必要とする声が上がってきております。
なぜかと言えば、最初に記述したように、日照時間の問題は光合成をさせる時だけ影響があるわけではなく、果菜類や花卉類などを栽培されている現場で、収穫する質や個数(本数)重量の向上、糖度や栄養素の調節などにも関係しています。
日照時間における短日、長日をうまく調節すれば、あらゆる生産者様の営農における今後の可能性が大幅に広がっていきます。

そこで私達は原点に返り、太陽光による可視領域内の波長を出す電球の作成を考えました。

図6 太陽光波長
図6 太陽光波長

上図(図7)は太陽光のスペクトルです。
実際に疑似太陽光LED電球を作るとなれば、200-360nmの近紫外線波長を入れたり、各波長それぞれのダイオードを使えばコストが大幅にかかります。
そこで蛍光体フィルタを用いることにより、下図(図7)のような波長を出すことが可能になりました。
そして、先述した光形態形成の青色や赤色のピーク波長を強調することにより、光合成の促進にも使用できる規格にしました。

それで完成したのが「補光用LEDライト グロースライトDタイプ」です。

図7 グロースライトDタイプ波長
図7 グロースライトDタイプ波長

最後に…

近年、LED技術を用いた農業に対する取り組みは、葉物の太陽光閉鎖型植物工場から始まり、現在では果菜類や根菜類の施設園芸まで多岐に渡るようになりました。

同時に植物専用LEDを取扱う企業も大幅に増加しています。
当社も「光と植物」というテーマで光合成促進の波長をじっくり研究し、生産者様や研究機関との試行錯誤の末、自社開発によって植物用LED「グロースライトシリーズ」の製造販売を開始しました。

植物の種類や用途によって照射する波長も違いますが、原則すべて各公的研究機関の文献を参考にしながらの作業でした。
そして現在、太陽光を利用する日本の古くからの農業においても補光用LEDが必要になる環境となりました。

最近では中間~高齢年層の方々から「昔は今より野菜が美味しかった」などの声を耳にすることが多いです。
しかし、こういった太陽光や光合成などの研究を行えば、あながちそう言っていることは理解できる気がします。

最後に…

生産者様が「もっと美味しい野菜を提供したい」という想いと、消費者の「もっと美味しい野菜が食べたい」という想いが、農業に携わる私達が微力ながら、どちらの想いも叶えられるメーカーにならなくてはならないなと、ヒシヒシと感じる毎日です。